C42の設計を詳しく見る
スマート望遠鏡とArcBlue C42:撮影の選択肢はどう変わるか
スマート望遠鏡とC42を、画角、撮像、撮影操作、機材の拡張性から比較します。撮りたい一枚に合わせて光学系を選び、撮影データを仕上げるための設計を紹介します。
スマート望遠鏡は、光学系、カメラ、追尾、ソフトウェアをまとめ、アプリで対象を選んで撮影を始められる機材です。天体撮影を始めるための有用な選択肢になっています。
撮影を続けると、広い星野を入れたい、天体の細部を大きく捉えたい、明るさや色を自分で仕上げたい、といった意図が生まれます。
C42は、その撮影意図を実現するために開発しています。撮像、ガイド、制御をまとめ、扱いやすさと光学系を選べる余地を両立する、ミラーレスカメラのような天体撮影システムを目指しました。
撮りたい一枚から、光学系を選ぶ
同じ天の川でも山を入れるか、星空を大きく写すかで写真が変わります。焦点距離と画角、フレームの端を決めることは、撮影の表現につながります。
スマート望遠鏡の多くは焦点距離、口径、センサーが固定されています。大きな星雲が画面からはみ出したり、小さな銀河が小さく写ったりする場合、アプリで対象を変えても光学系は変わりません。
C42では、星景に広角レンズ、広い星雲に適切な焦点距離のレンズ、細部に望遠鏡を選べます。Sony E、Nikon Z、Canon EFとM68接続版で、対応する手持ちの光学系を使えます。
仕上げに生かせる撮影データを記録する
光を集め、ノイズを抑え、階調や色を仕上げるまでの流れを支え、撮影後に調整できるデータを残すことを重視しています。
C42はSony IMX410を採用し、約36×24mm、約2,400万画素、画素サイズ5.94µmのフルサイズセンサーを備えます。フルサイズをカバーする光学系では同じ焦点距離でより広い画角を記録できます。冷却出力100%で周囲温度との差30°Cを測定しています。
GWIは同じセンサー、同じ光路で、長時間の撮影露出と短いガイド露出を同時に行います。星の位置を測って赤道儀へ補正を送り、最大600秒の単一露光に対応します。別のガイドカメラやガイド鏡を組み立てずに使えます。
FITSとDNGのRAW出力に対応し、HDR RAW FusionはFP16(16-bit浮動小数点)のDNGを生成します。撮影データをパソコンへ移し、階調、色、細部を仕上げられます。
光学系の選択から撮影、画像処理まで、具体的な撮影意図を支えることを、私たちは専門的な撮影機能と考えています。
夜の時間を、撮影のために使う
カメラ、ガイド、制御、処理を別々に接続して設定する作業をC42にまとめ、現場で撮影に移るまでの手順を減らしました。
対象を選ぶとSmart GoToが導入し、プレートソルビングで位置を補正します。ライブビューの拡大でピントを確認でき、対応する電子レンズではAFを使えます。HALO CAAで構図の向きを調整します。
一般的なCAAはカメラだけを回転させます。HALOはカメラと光学系を一緒に回転させ、センサーと光学系の相対位置を保ちます。相対回転によるフラットパターンの変化を抑える方式です。
HALOの絶対角エンコーダーにより、星図上の画角と実機の角度を同期します。手で回して構図を変えた場合も、星図上の画角が追従します。
流星群の撮影で、カメラ画面を見るために地面へ横になった経験があります。その不便さを減らすため、C42の画面は本体に付けたままでも、取り外して近くから無線操作することもできる方式にしました。
レンズの向きを見ながら画面を操作する、カメラとして自然な撮影体験を残したいと考えています。マグネット式画面で、その場の構図確認と本体から離れた操作を両立できます。
私たちは画像だけでなく、撮影の過程も重視しています。使いやすい機材でフレームに集中し、次の構図や露出を試せるよう、専門的な撮影機能に自動化を組み合わせています。
撮影に合わせて育てるシステム
一体型のスマート望遠鏡では、画角や焦点距離を変えるために、カメラや追尾機構を含む機器全体を買い足す場合があります。
C42では、対応するレンズや望遠鏡を交換し、カメラ、ガイド、操作手順はそのまま使えます。手持ちの光学系と使い慣れた操作を次の撮影にも生かせます。
カメラ、Pulsar、HALO、マグネット式画面、アプリを共通の手順で操作しながら、各機器は分けて収納できます。行き先に合わせて光学系を選び、ほかの旅行機材とともに持ち運べます。
天文機器用フレームワークINDIGOを基盤とし、そのエコシステムに対応します。互換性のある既存の機材や、他社の光学系・アクセサリーを組み合わせられます。
長く使う中で蓄積した経験や意見を、次の製品の改善に反映したいと考えています。機器全体を何度も買い替えるより、既存の機材を生かすシステムをつくります。
C42の開発に向けて10年の準備を重ねてきました。時間をかけて開発を進め、長く撮影に使っていただけるシステムを目指します。
機能・仕様の比較
画角と撮像
| 項目 | 一般的なスマート望遠鏡 | C42 |
|---|---|---|
| 光学系と表現の選択 | 焦点距離と口径が固定された内蔵光学系。撮影対象や構図は決まった画角に合わせます。 | 対応するレンズや望遠鏡を選び、星景、広い星雲、天体の細部に合わせて焦点距離、口径、画角を変えられます。 |
| センサーのサイズ・面積 | 一般的な小型センサー:約17〜71mm² | フルサイズ:約36×24mm/864mm²。対応光学系で、同じ焦点距離をより広い画角で記録します。 |
| 画素サイズ | 一般的な値:2〜2.9µm | 5.94µm。フルサイズ冷却撮影、長時間露光とガイドに使用します。 |
| センサー冷却 | 標準機能ではない機種が多く、放熱・冷却方式は製品ごとに異なります。 | TEC冷却。出力100%の試験で周囲温度との差30°Cを測定。長時間露光時の暗電流を抑えます。 |
撮影と操作
| 項目 | 一般的なスマート望遠鏡 | C42 |
|---|---|---|
| 単一露光の時間 | 一般に数秒〜数十秒。ガイドに対応した一部製品では数分。 | センサー面ガイドと同時に、最大600秒の露光。 |
| ガイド機能 | 一部の機種は、内蔵光学系に合わせたガイドを備えます。 | GWIは撮像センサーと光路を共有。対応光学系を交換しても、別のガイドカメラ・ガイド鏡を使わずにガイドできます。 |
| 追尾方式 | 経緯台が一般的。一部製品は赤道儀モードに対応。 | Pulsar赤道儀は23-bitエンコーダーとサーボ制御を使用。実際の星像から測定したGWIの補正情報を反映します。 |
| 構図の回転 | アプリで構図を調整。方式は機種によって異なります。 | HALO CAAはカメラと光学系を一緒に回転し、相対位置を保ったまま構図を変えます。 |
| 画面確認と現場の操作 | 主にスマートフォン・タブレットのアプリ。 | アプリと着脱式画面。拡大ライブビューとピント操作、対応電子レンズのAFに対応。専用画面でスマートフォンをほかの用途に使えます。 |
| 撮影データの保存 | 一般的な内蔵容量:25〜225GB | カメラ:8GB eMMC+最大2TBのSSD。長い遠征で多くの元画像を保存できます。 |
機材と拡張
| 項目 | 一般的なスマート望遠鏡 | C42 |
|---|---|---|
| 手持ちの光学系を使う | 内蔵の主光学系は、手持ちの撮影レンズへ交換できない機種が一般的です。 | Sony E、Nikon Z、Canon EFのネイティブマウント版とM68版で、対応するレンズや望遠鏡を使用できます。 |
| ソフトウェアとアクセサリー | 主に各メーカーのアプリと対応アクセサリーを使用。 | INDIGOを基盤とし、互換性のある機材や他社の光学系・アクセサリーと組み合わせられます。 |
| 収納と持ち運び | 主光学系を固定した本体を一体で収納する方式が一般的です。 | カメラ、赤道儀、回転装置を分けて収納し、行き先に応じてレンズや望遠鏡を選べます。 |
| 光学系の変更 | 主光学系を変更するために、機器全体の買い替えが必要になる場合があります。 | 対応光学系を交換し、カメラ、ガイド、操作手順を継続して使えます。 |
比較値は2026年9月に確認した代表的な機種の値です。センサー面積は撮像寸法から計算しています。センサーサイズと画素サイズだけで画質の優劣は決まりません。C42の冷却温度差は出力100%の試験結果です。
この星空を、どんな一枚にしますか。
普段のカメラで焦点距離や構図を選ぶ感覚を、星空の撮影にも。フルサイズ冷却センサー、ガイドと自動制御で、撮影の意図を実現する手順を支えます。
星雲の細部、天の川と風景、一晩のデータから仕上げる画像。撮りたい一枚を思い描き、対応するレンズや望遠鏡を選んで撮影を始められます。
